特徴等
法界寺 (ほうかいじ) は、伏見区日野の地に所在する寺院で、平安時代の永承6年(1051)に、日野資業 (すけなり) が日野家の山荘があったこの地に一宇を建立し、薬師如来像を安置したことに始まると伝えられる。別名「日野薬師」または「乳薬師」ともよばれ、授乳祈願の信仰で知られている。伽藍は平安時代末頃に壮観を誇っていたといわれるが、中世の兵火などにより度々焼失し、現在では阿弥陀堂と本堂 (薬師堂) を残すのみとなっている。
阿弥陀堂は、桁行五間、梁間五間、一重もこし付、宝形造、檜皮葺で、境内のほぼ中央に南面して建っている。現在の堂宇は承久3年(1221)の火災後、鎌倉初期の再建と考えられているが、藤原時代に起こった浄土教の流行や、末法思想等の影響で、極楽浄土の具象化として各地に建てられた典型的な阿弥陀堂建築の一つである。内部には平安時代作の木造阿弥陀如来坐像 (国宝) が安置されている。平等院鳳凰堂の本尊に最も近いという定朝様式の仏像で、寄木造、漆箔、八角九重の蓮華座の上に飛天光背を背にして坐る、丈六、上品上生 (弥陀定印) の穏やかな像である。

参考資料:法界寺案内リーフレット(法界寺)/国指定文化財等DB(文化庁)
2023-4-17
       
       
       
       
法界寺阿弥陀堂 (撮影:2023-4)
番号・名称 年 代   構造等
033 法界寺阿弥陀堂
   (国宝)
鎌倉前期
(1185-1274)
桁行五間、梁間五間、一重もこし付、宝形造、檜皮葺
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法界寺阿弥陀堂 (撮影:2023-4) 法界寺阿弥陀堂 (撮影:2023-4)